ハノイ時代と変わらず、セブ島での移動手段はバイクタクシー(バイタク)がメインだ。1人での移動が多いためタクシーより割安なのと、なにより早い。東南アジアの都市あるあるなのかもしれないが、セブもとにかく渋滞がひどい。通勤時間帯どころか、15時過ぎから主要な道路は混み始める。それに伴って脇道も混む。そのため、すり抜けできるバイタクの方が何かと便利なのだ。
こちらでバイタクを呼ぶのに使っているのがバイタク専用の配車アプリ「Move it」だ。ほかにも「Angkas」だの「maxim」だのといったアプリは存在するが、Move itはGrabが運営しており、UXが同じで使いやすいためこちらを使っている。しかしハノイではGrabのメイン画面から車かバイタクかを選択できたのに、こちらではわざわざ別アプリになっているのはなぜなんだろう。
ハノイでもバイタクを愛好し、「バイタク評論家」としての今後を考えなくもない私だが、こちらで感じたハノイのバイタクとの大きな違いは以下だ。
セブの方がヘルメットがしっかりしている
一番に感じた明確な違いがコレだ。バイタクは基本的に運転手がヘルメットを持参し、乗車時に貸してくれる。しかし、ハノイで貸し出されるヘルメットはなんというか、ものすごく薄くて軽い。おなじみ「たたいて、かぶって、ジャンケンポン」のやつじゃないの?というくらいにぺらっぺらだ。有事に頭部を防御するといった本来の目的が果たせるかは甚だ疑問であり、もはや「ちゃんとかぶせてますよ感」を出すためだけの代物といっても過言ではないと思う。その割に、ドライバー自身はちゃんとフルフェイスやジェットヘルのヘルメットをかぶっていたりする。
それに比べて、セブでは必ずジェットヘルかフルフェイスのヘルメットを貸してくれる。Grab側の決まり事としてそうなっているのだろう。ハノイのペラメットに比べて、圧倒的な安心感がある。とはいえ、セブではハノイに比べてそれなりにスピードを出したり、攻めたすり抜けもしたりするので、その安心感は相殺されている気もする。
セブはスポーツタイプのバイクが多い
ハノイでバイタクといえば、ほぼスクーターであるのに対して、セブではスポーツタイプのバイクにも一定の割合で出会う。乗客側からすると、圧倒的にスクータータイプが好ましい。なんといっても座り心地が違う。スクーターはシートが幅広、かつ水平なため、悪路でも安定した姿勢を保てる。一方でスポーツタイプはシートが細身、なおかつ前傾しているので、姿勢を保つのが非常に大変だ。
バイタクに乗る場合、どこにつかまっているかといえばシートの横か後ろだ。ドラマや漫画などで見かける、「飛ばすから、しっかり俺につかまっとけよ!」「うん!」といった、ドライバーの腰に抱き着くといったことはまずしない。そうなると、スポーツタイプの場合にはそもそも前傾姿勢、だがドライバーの背中にはくっつかないように気を配る、一方で加速時や急ブレーキにはふんばって対応しなければならない、といった状態で、手と神経とが非常に疲れる。以前、お隣のマクタン島まで40分強の移動にバイタクを呼んだ際、スポーツタイプのバイタクが来た際には「まじか…」と天を仰いだ。そして、スポーツタイプのドライバーは大概、空いている直線道路で飛ばしがちだ(私調べ)。
その他にも、セブのドライバーはレーサーのようなユニフォームを着ている、ちょっとの隙間でも前に前にの精神がすごい、などの小ネタもあるので、またの機会にぜひ書きたい。