「あいうえお」の50音に沿った単語で、ハノイを紹介するシリーズ。今日は「お」。ハノイの「お釣り」事情をご紹介します。

現在、ベトナムで流通しているお金はすべて紙幣で、500VND、1000VND、2000VND、5000VND、1万VND、2万VND、5万VND、10万VND、20万VND、50万VNDの10種類です。以前は硬貨も存在していたのですが、現在は流通していません。ちなみに、ベトナムドンから日本円への換算方法は「0を2つ取って半分にする」が分かりやすいと思います。5000VNDだったら25円、10万VNDだったら500円ですね。ベトナムでは硬貨が存在しないため、日本のようにお釣りの小銭で財布がジャラジャラする、といったことはないのですが、お釣りに関連した別の問題もあるんです。それは「端数どこで切り上げるの問題」です。

詳しくご説明しますと、現在500VND以下のお金は流通していないのですが、単位としては存在しています。例えば、スーパーで量り売りのお肉を買った場合に「52,400VND」になるとかですね。そういったことが重なると、合計金額が「81,800VND」になったりするわけです。さあ、こういった場合にどうなるかというと、基本的には四捨五入的な考えが適用されます。「81,800VND」の場合は、切り上げて「82,000VND」となるわけです。そのため、もしこちらが10万VNDを出した場合、お釣りとして「1万8000VND」が戻ってきます。

これだったら非常にわかりやすいのですが、問題は最初の例の「52,400VND」だった場合です。普通に考えて四捨五入をした場合、最小単位が500VNDなので、切り上げて「52,500VND」になるという考えが成り立ちますよね。そのため、「じゃあ53,000VNDを出して、500VNDのお釣りをもらおう」とすると、しれっとレシートだけが帰ってきたりするんですよ。「えっ?ちょっと、お釣りの500VNDは?四捨五入の法則はどうなっちゃってるの?」と思うわけですが、理由は単純。500VNDが手元にないのです。500VNDは確かに流通してはいるのですが、用意しているお店は少なかったりします。ないものはない。法則もへったくれもありません。

かといって、じゃあ最初からこちらもそれを見越して1,000VND単位で四捨五入して52,000VNDだけ渡せばいいじゃないという向きもありましょうが、うーん、なんとなくできないんですよね。500VNDという紙幣は存在しているので、それを考えに入れるのがフェアであろう、というよくわからない武士道精神を発揮してしまうわけです。そして、たまーに500VNDが返ってくるお店があるのも割り切れない理由のひとつなのですよ。それゆえいつも、端数が400VNDとか600VNDになっちゃったときには「え、どうなるの、どうするの、どう切り上げるおつもりなの」とヤキモキした気分になります。500VNDったって2.5円なんですけどね。いやでも、お金はお金だから。

ちなみに、以前タクシーに乗った際に運ちゃんから「8万3000VNDだよ」って言われて9万VNDを渡し、7000VNDのお釣りのところ、5000VNDしか戻ってこなかったときにはさすがに「いや、あと2000VNDちょうだい」って言いました。2000VNDって10円なんですけどね。いやでも、お金はお金だから。

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